国内研究

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国内研究

国内では、2017年から主に日本で生活する外国人の保健医療アクセスに関する研究を行っています。科研費研究「日本で生活する外国人における健康資源へのアクセスの現状と影響要因」(基盤C・2019~22年度・19K10563)が終了しました。(2022年までの研究の概要は「社会医学研究」 39巻1号の特別報告に掲載されました。)

現在は、科研費研究「外国人住民における保健情報アクセスの背景およびアクセス向上のためのシステム開発」(基盤B・2022〜25年度・23K24577)と共創まちづくり研究推進事業による「日本語に制限のある人びととのコミュニケーション向上のための保健医療従事者研修プログラムの開発」(2024~25年度)を実施中です。

研究を通して、誰もが健康を享受できる共生社会をめざします。

 

⇒プロジェクト紹介の後に「日本語に制限のある人びととのコミュニケーション手段」についての解説があります。

 

【進行中のプロジェクト】

「外国人住民における保健情報アクセスの背景およびアクセス向上のためのシステム開発」

本研究は、4つのサブプロジェクにより、外国人住民における保健情報へのアクセスの背景を探り、アクセス向上のための方策を開発して評価することを目的としています。職業上支援的立場にある人、将来の保健医療従事者である看護学生、外国人住民らを対象とし、保健医療情報に関する課題、保健医療従事者と外国人住民双方の知識とスキル、外国人住民の保健医療状況へのアクセス状況と関連要因について、質的分析、社会疫学的分析、介入研究を混合した方法で行ないます。研究を通して、外国人住民の保健情報へのアクセスが向上し、誰もが健康を享受できる共生社会をめざしています。

 

サブプロジェクト1:保健情報提供する保育者と慢性看護師を対象とした質的調査
サブプロジェクト2:看護学生を対象とした「やさしい日本語」の教育とその前後の知識とスキルの反復測定
サブプロジェクト3:外国人住民らを対象とした公的な多言語保健情報へのアクセスに関する質問票調査
サブプロジェクト4:外国人住民の参加で日本語による保健情報動画オンラインコンテストの開催、およびそれに伴う①効果の評価、②情報受け入れにかかる分析、③投稿動画の日本語分析

 

最終年度である2025年度は、東海4県の日本語学校に協力をお願いして、サブプロジェクト3と4を行います。

 

「日本語に制限のある人びととのコミュニケーション向上のための保健医療従事者研修プログラムの開発」

本研究は、日本語に制限のある人びとと保健医療従事者の間のコミュニケーションに着目し、それを向上させるための方策を提供者側から開発することを目的としています。外国人市民らの保健医療アクセスを困難にしている「言葉の壁」が保健医療従事者にとって外国人市民の対応が心理的負担にもつながっているのではないかという先行研究と現場からの示唆にもとづいて計画しました。

 

看護職者、保健師、薬剤師を対象として、具体的には、段階的に3つの個別目標を設定しました。1)日本語に制限のある人びととのコミュニケーションに関する保健医療従事者の意識、知識、スキルの現状を評価する、2)その評価をもとに研修ニーズを明らかにし、現職者研修プログラムを作成する、3)開発した研修プログラムを実施してその効果を測定する。

現在看護職者を対象とした調査が進行中、保健師を対象とした調査が準備中です。薬剤師を対象とした現状調査(個別目標1)に相当)は別プロジェクトで終了しており、研修ニーズ調査を計画中です。

 

【解説:日本語に制限のある人びととのコミュニケーション手段】

日本語に制限のある人びととのコミュニケーション支援手段は多くあります。

英語は世界共通語ですが、日本で生活する外国人住民にとっても、日本人にとっても必ずしも得意な言語とは言えません。実際に頻用されているのは、家族、友人、職場の人などによる「アドホック」通訳ですが、医療安全、医療倫理に課題があり、患者とアドホック通訳者の双方の人権を守るという意味からも、シンプルな生活支援を超えた場面では頼らないことが推奨されています。

やさしい日本語機械翻訳、政府、自治体、NGOなど信頼できる組織により翻訳された資料を組み合わせれば、かなりのコミュニケーションが可能です。医療従事者は、これらを使えるようになるための知識とスキル、そして、これらの限界を知り、医療通訳に切り替えることができるようになるための知識とスキルを身に付けることが重要と考えます。

 

★ 以下のコラムも併せてご覧下さい。

「医療現場における日本語に制限のある人びととのコミュニケーション」(こちら)「やさしい日本語をつかってみよう」(こちら

★ 東京都多文化共生ポータルサイトの「やさしい日本語」ページに、研究室の取り組みが事例として紹介されています。(こちら

 

<受入れマニュアル>

外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル

厚生労働省の事業により開発されたマニュアルです。包括的な内容になっていますので、外国人患者受入れを開始する際、そして実際の受入れの際の助けとなります。

 

<やさしい日本語>

在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

出入国在留管理庁と文化庁が、共生社会実現に向けたやさしい日本語の活用を促進するために作成しています。最初の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年発表)は主に書き言葉に焦点をあてたものでしたが、現在は、「話し言葉のポイント」、「研修のための手引き」、「研修教材例」など豊富な資料がダウンロードできます。

 

医療×「やさしい日本語」研究会

やさしい日本語を医療者に紹介し、医療機関への導入・普及することを目的に活動している研究者らによるウェブサイトです。研修会情報や教材の紹介が豊富です。

 

<機械翻訳>

ボイストラ

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発したスマートフォン向けの多言語音声翻訳アプリで、無料でダウンロードし使用することができます。(試用を想定して作られた研究用アプリで、研究目的のサーバーを使用していることなどに同意する必要があります。)音声を文字変換→翻訳(31言語に対応)→逆翻、することが可能で、翻訳結果が正しいか自分の言語で確かめることができます。この技術を使用している民間の音声翻訳サービスや製品が多数あります。

 

<翻訳資料>

外国人患者受入れ情報サイト

外国人患者を受入れる医療機関の質の確保をはかるため、厚生労働省の補助事業のひとつとしてメディフォン株式会社が運営しているサイトです。「多言語ツール」ページで、指差しボード、説明資料、問診票をはじめ、豊富な翻訳資料がダウンロードできます。(「多言語ツール」ページには、「医療機関向け」ページトップからも「地域関係者向け」トップページからも入れます。)

 

学術論文

日本で生活する外国人の保健医療アクセスに関する研究から発表した学術論文は以下のとおりです。いずれもオープンアクセスです。

 

 

 その他、学生の学会発表履歴などは資料室にリストしています。教員の研究活動はResearchmapをご覧下さい。

 

フォーラム

研究室では、(公財)名古屋国際センターとの共催で、毎年年度末に「愛知県で生活する外国人の保健医療アクセスを考える」フォーラムを開催し、調査協力者へのフィードバック、当事者や支援者、保健医療従事者、他の研究者などとのネットワークにつとめています。

 

 

 

JAGH 移民の健康委員会

樋口は2022年12月より、日本国際保健医療学会、移民の健康委員会で活動しています。

 

新着情報

活動報告をご覧下さい。

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