ゼミ報告

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ゼミ報告(2025.5.12開催)

皆様こんにちは。D2の新井です。

2025年5月12日のゼミ報告をさせていただきます。参加者は樋口先生、吉野先生、佐藤さん、竹村さん、橋本さん、新井でした。

 

今回は、通常の研究進捗発表とは趣向を変え、「自信(self-confidence)」「自己効力感(self-efficacy)」「自尊感情(self-esteem)」の違いについて、佐藤さんを中心に議論しました。前回のJournal Clubで self-efficacy を扱った論文を取り上げたことがきっかけで、これらの用語の定義や相違点について理解を深める必要性が話題となり、このような機会を設けることになりました。

 

佐藤さんは、関節リウマチ患者のセルフマネジメントに関する研究の中で self-efficacyについて調査された経験を活かし、それぞれの概念や違いについてまとめて発表してくれました。かなり大まかになりますが、主な内容は以下の通りです。

・「自信(self-confidence)」は、看護・助産学領域では「ある特定の行動や能力に対する確信」という意味で用いられており、初めから備わっているものではなく、行動の過程で培われるものと考えられています。(https://www.jstage.jst.go.jp/…/32_JJAM…/_pdf/-char/ja

・「自己効力感(self-efficacy)」は、Bandura(1977)が提唱した概念で、「特定の行動に対して自分がうまく遂行できるという確信」を意味します。(https://www.jstage.jst.go.jp/…/20/2/20_39/_pdf/-char/ja

・「自尊感情(self-esteem)」は、Rosenberg(1965)が「自己に対する肯定的または否定的な感情」として定義した概念が広く知られています。

 

これらは互いに関連しつつも異なる概念であるとのことです。例えば、自己効力感は自己の能力の評価という点で自尊感情と類似していますが、自尊感情が「自己を評価して生じる感情」であるのに対し、自己効力感は「個人の能力の推測」であり、感情ではないという点が異なります。結論として、各概念の定義や相互関係は非常に複雑であり、今後も文献を読み込みながら議論を深めていくことになりました。今後は、Bandura による自己効力感、Rosenberg による自尊感情尺度などを扱った論文を Journal Club で取り上げ、理解を深めていく予定です。

 

後半の Journal Club は橋本さんが担当し、“Pharmacy language assistance resources and their association with pharmacists’ self-efficacy in communicating with Spanish-speaking patients” を紹介しました。アメリカ・イリノイ州の地域薬局において、スペイン語話者の患者とのコミュニケーションに関する言語支援リソースの利用状況と、薬剤師の自己効力感との関連を調査した研究です。主な結果として、言語支援リソースの使用頻度は全体的に低かったものの、コンピューターベースのリソース利用と自己効力感には有意な関連が認められました。ゼミ内では、データ分析手法や結果の解釈について活発な議論が行われ、樋口先生からは因子分析についての解説もあり、理解を深めることができました。

 

次回のゼミは2025年5月26日(月)16:15~で、進捗発表は新井が担当します。Journal Club の担当者と論文については、後日アップいたします。

外部からの参加も大歓迎です!

 

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