＜本研究の概要＞

移民者は差別や言語、社会経済的に不利な状況にあり、取り残されやすい人々です。そのため、保健医療に適切にアクセスできず、受け入れ国民との間に健康格差が生じています。タイは近年、近隣諸国より移民者を受け入れており、彼らに対して健康保険サービスを提供していますが、それでも移民者は適切に保健医療にアクセスできていない現状があります。そこで、私たちは、タイの南部地域で働く移民労働者の保健医療アクセスを阻害する要因を明らかにするためにアンケート調査を実施することにしました。

この研究を始めようと思ったきっかけは、私が博士前期・後期課程を通して、日本で生活する外国籍住民の保健医療アクセスについて調査をしていたこと、そして国際連合食糧農業機関でフェローシップをしていた際に、カンボジアから多くの人がタイへ出稼ぎに行っている事実を知ったことからでした。調べていくうちに、日本の外国籍住民とタイの移民労働者を取り巻く環境が似ていること、そして類似した問題が生じていることに気が付きました。しかし、タイの南部地域の移民労働者におけるアクセスを阻害する要因は明らかになっていないので、本研究を通して、移民労働者の健康が維持するため一助となれるよう、頑張りたいと思います。また、本研究結果を日本の外国籍住民の結果と比較することで、日本の外国籍住民の健康にも役立てることができたら嬉しいです。